機械系の進路を調べると、だいたい同じような言葉が並びます。
「機械設計」「生産技術」「技術営業」…
そして決まって書かれているのが、
“ものづくりが好き”“新しい技術を学び続けられる人に向いている” といったフレーズです。
でも、機械系の学部に進んでみたものの、
- 4年間学んでも「なんだか向いてない気がする」
- どの職種にもピンとこない
- 「ものづくりが大好き!」というタイプでもない
…そんな学生さんもきっといると思います。
実は私自身も、まさにそのタイプでした。
数字が得意なわけでもなく、物理現象に詳しいわけでもなく、
「機械いじりが好きで仕方ない!」というタイプでもありませんでした。
そんな私がどうやって、そしてなぜ、機械系エンジニアとして働いてきたのか。
また、機械系の進路に進むべきなのかどうか。
今回はそんなテーマでお話ししたいと思います。
結論
- 理系っぽくなくても、機械系で働ける
上述したように、私は機械系に苦手意識を持っている方ですが、機械系エンジニアをしています。
なぜならば、
機械系の仕事は“理系的な強さ”だけで成り立っているわけじゃない
と気づいたからです。 - 機械系が機械系の職に就くとは限らない
私は機械系の学部出身ですが、学生時代の友人の進路は様々です。
機械出身には、専門性以外にも強みがあります。
以下で、それぞれについて私の実体験を踏まえて説明していきます。
私自身の話:意地で選んだ設計職と、そこで失った自信
上述したように、私は“ザ・機械系”ではありませんでしたが
「せっかくここまで来たんだから機械系に行かなきゃ」
という半分意地のような気持ちで設計職に就きました。
しかし、
「数学も物理もそこまで得意ではないのに、本当に自分に務まるのかな…」
と内心不安でいっぱいでした。
1〜2年目はまだ若手ということもあり、周囲も優しく、なんとかやっていました。
ところが、年次があがるにつれ、専門知識や理系的な思考力が求められるようになり、
職人気質の強い職場で叱責されることも増え、心身ともに消耗していきました。
そして、2年以上かけて進めた設計に対して
「こんなの設計とは言えないよ」
と叩きつけられたとき、完全に自信を失いました。
転職を考えたときは、
「もう機械エンジニアはやめよう」
と本気で思っていました。
それでももう一度だけ挑戦してみたら、世界が変わった
ただ、いろいろな人の話を聞くうちに、
「もう一度だけ機械エンジニアをやってみよう」
と気持ちが変わり、別の会社へ転職しました。
すると、嘘みたいに仕事が楽しくなったんです。
というのも、前職でも現職でも、設計の現場では コミュニケーション不足や情報の散乱によって大きな手戻りが発生している と気づいたからです。
“ザ・機械系”というタイプの方は、モノづくりに没頭するあまり、設計情報の整理や共有が苦手なことがあります。
そこで私は、そこを積極的にフォローするようにしました。
機械系の知識がある+コミュニケーションが得意+数字や物理が得意ではない
という私の特性だからこそ、機械系ではない部署にも分かりやすく設計情報を伝えられると感じています。
そして不思議なことに、こうした動きをするようになってから、自分自身の設計業務もうまく回るようになったんです。
前職では、設計スキルが高くないと見られていたため、提案を通すまでに何日もかかりました。
しかし転職後は、自分の得意分野で信頼を積み重ねてから提案すると、きちんと耳を傾けてもらえるようになり、設計そのものもスムーズに進むようになりました。
さらに、時間や心の余裕が生まれたことで技術的な勉強にも取り組めるようになり、少しずつ設計スキルも身についてきたと感じています。
私は、数字が強いわけでも、物理現象に詳しいわけでも、
「ものづくりが大好き!」というタイプでもありません。
発想力にも自信がなく、ずっとコンプレックスでした。
でも最近は、情報を整理し、仕様を明確にすることで品質の高い設計ができるのではないかと考えるようになり、技術知識を蓄えつつ、設計の業務改善にも力を入れています。
つまり、
機械系の仕事は“理系的な強さ”だけで成り立っているわけじゃない。
そのことにようやく気づいたのです。
専門が機械だからといって、みんなが機械系の仕事をするわけじゃない
さて、上述したように私自身は、半分意地のような気持ちで設計職に就きました。
転職を経て、自分の特性と専門をうまく合致させることができましたが、かなり苦労したのも事実です。
そんな中、学生時代の友人たちを思い返すと、
機械系の仕事をしているのは全体の3分の1くらいということに気づきました。
もちろん、バックグラウンドを活かして働く人もいます。
- 自動車や家電の設計
- 工場設備の設計
- 生産技術
- 機械の整備士
こうした“ザ・機械系”の道に進む人も一定数います。
でも、残りの人たちはというと…
- インフラ系の内勤
- 資材調達
- 公務員
- コンサル
など、機械とは直接関係のない道に進んでいる人も多いんです。
それでもみんな、それぞれの場所でしっかり活躍しています。
専門外でも活躍できる理由のひとつは、機械系の学生が大学で 実験や研究を通して、論理的思考や課題解決力を自然と身につけている からだと思います。
どんな仕事でも「人に説明する」「問題を整理して解決する」場面は必ず出てきます。
その基礎ができていれば、職種が変わっても十分に力を発揮できるのでしょう。
また中には、最初は機械系の仕事に就いたものの、
「残業が多くて体力的にきつかった」
「自分には向いていない気がした」
と感じて、事務系に転職した友人もいました。
こうして周りを見ていると、
“機械系=機械の仕事”という固定観念は、実はそんなに強くないのかもしれません。
むしろ、機械系で学んだことは、いろいろな仕事に応用できる“汎用性の高い土台”になっているように思います。
おわりに:機械系に進んだからといって、進路はひとつじゃない
機械系の進路は、ネットで調べるよりずっと広くて、ずっと自由です。
“機械系だからこうしなきゃ”という決まりなんてありません。
実際に、私自身や周囲を見回してみても、
- 機械系でバリバリ働く人もいれば、
- 理系っぽくなくても機械系で活躍している人もいて、
- 機械系に進んだけれど「向いていない」と感じて別の職種に移った人もいて、
- そもそも最初から機械系以外の道を選んだ人もいます。
本当に、選択肢はいろいろです。
だからこそ、どうか不安にならずに、
あなた自身が納得できる道を選んでいってほしいと思います。
専門に縛られず、あなたの価値観や心地よさを大切にして大丈夫です。

